円形脱毛症

円形脱毛症の中でも、髪の毛が全部抜けてしまう全頭型や、頭全体に地図状に抜けてしまう重症の多発型などは、皮膚科の中でも扱いにくい病気の代表です。このような状態が数年間治らない場合、難治性円形脱毛症と診断されます。

当院は発症後数年して来院される難治性円形脱毛症の患者さんが多いため、いつの間にか脱毛症専門の鍼灸院と思われるようになってしまいました。(ちなみに70%が毛髪関係の患者さんになります。)

東洋医学の頭皮針治療の治療が効果を示した難治性脱毛症中でも、全頭性脱毛の治療成績の要旨だけを簡単に紹介すると、
(1) 1年以内なら90%以上に効果があります。
(2) 罹患の期間が長くなるとじょじょに治療効果は落ちますが、20年位までは50%くらいは効果があります。
(3) 全頭脱毛では効果が出始めるまでに1年位かかり(週に2回以上通院の場合)、罹患の期間が長くなればなるほど効果が出にくいので、早期治療が大切です。
といった点に集約されます。
これは、全頭性脱毛の最も重症の臨症例の結果であり、多発型だと3ヵ月で95%以上に何らかの反応が見られます。

重症の円形脱毛症で、通院中の皮膚科の治療効果が思わしくない方は、一度ご相談ください。

当院に通院されている患者さんも、一番初めに来られた時には、今まで病院に何年も通って改善しなかった脱毛症の症状が鍼でよくなるのか、そう不安に思われながら、勇気を振り絞ってカウンセリングに来られていた方達です。

当院では、初回のカウンセリングに2時間から3時間かけて、貴方の脱毛症の原因をお伝えし、どうやったら治るのかをお話ししています。そして、完治に向けて出来る限りの治療を行います。

円形脱毛症とは

円形脱毛症は、一時的な疾患とはかぎりません。

円形脱毛症の症状は、一般的に、突然、円形または楕円形の脱毛が生じます。頭に生じることが多く、まれに眉毛やまつげ、あごひげ、陰毛などに生じることもあります。単発といって一か所に生じる場合と、複数の箇所に生じる場合があります。大きさは、爪の甲の大きさから掌サイズまで様々です。なかでも全脱毛に及ぶものは、悪性円形脱毛症といいます。

なお、アトピー性皮膚炎を合併しているケースが、小児で約75パーセント、成人で約20パーセントあります。

円形脱毛症の特徴は、毛が抜けている部分の周縁の境界が明確で、その周囲の毛は引っ張るとたやすく抜けます。脱毛は、通常1日数千本、数週間で全部抜けてしまうほど急速に進む症例が非常に多くあります。

皮膚は固くテカテカに光る表面を呈するようになり、この状態になると尿検査や血球数を調べてホルモンをいじくりまわしても何の意味もなさなくなります。

ただ、この単発性のハゲは、約3ヶ月から半年ほどで自然に治ってしまうことがおおく、特に若い方はそのようなケースがよくみられます。注意したいのは、一度治ったとしても全く何の前触れもなく、再びはげることがある点です。多くの場合は多発性といって複数の円形脱毛症が発症・進行していきます。

円形脱毛症の病型

当院に来られる患者さんの年齢層としては、小児円形脱毛症は生後8か月から2・3歳、成人円形脱毛症は70代まで男女差なくいらっしゃいます。

(1) 単発性円形脱毛症
病巣が1個のみの状態が、数年間続く場合と、約3ヶ月から半年で自然になおってしまう場合があります。
(2) 多発性円形脱毛症
数か所の病巣が出来ます。発毛と脱毛を繰り返す場合が多く、やがて(3)に進行していきます。
(3) 多発融合性円形脱毛症
多数の病巣があって、それらが一部で融合します。脱毛はさらに急速に進行します。
(4) 全頭性円形脱毛症
全頭が脱毛します。精神のバランスをくずし、神経症の病状を呈する場合もあります。
(5) 汎発性円形脱毛症、悪性円形脱毛症
全頭の他、眉毛、睫毛、鼻毛、耳毛、ひげ、腋毛、手足毛、陰毛などの体毛が脱毛します。ハゲる悩みで、性格が神経質になって防御的に変わってくることが多くあります。

円形脱毛症の原因

西洋医学では、原因不明と言われています。一般に以下の4つの説があります。

(1) ストレス学説
精神的なストレスで円形脱毛症が発症するとする考え方です。円形脱毛症と精神的素因との関連を検討した報告もなされていますが、とくに子供に生じた円形脱毛症には精神的ストレスが関連しているとされています。近年、ストレスにより免疫系に影響が及ぼされるという報告もあります。
(2) 遺伝によるものとする学説
一般に、患者の約20%に家族の発症者がいるといわれています。また、一卵性双生児では55%で共に円形脱毛症が発症したが、二卵性双生児ではその確率が0%だったという報告もあります。これらのことから、遺伝によるのではないか、という学説が根強くあります。
(3) アレルギーが関与しているとする学説
難治性の円形脱毛症患者でアトピー性皮膚炎を発症する確率が高いことから、円形脱毛症の病因としてアレルギーが関与しているのではないかとする考え方です。
(4) 自己免疫説
現在、円形脱毛症の発症要因として一番有力な説です。円形脱毛症の患者で、甲状腺疾患や白斑などの自己免疫疾患の合併がみられること、脱毛をしている部分の毛包周囲に多数のリンパ球浸潤がみられることなどから、自己免疫系の以上によるものとする考え方です。

円形脱毛症の患者さんは、脱毛という症状に加え、身体がだるい・重たい、疲れやすい、よく眠れない(すぐに目が覚めてしまう)、のぼせやすい、冷え症であるなど、いろいろな身体の不調を訴える方が殆どです。これは、内分泌系、ホルモン系、自律神経系、自己免疫系、体温調節中枢、欲望中枢、生理時計、睡眠調節中枢、食欲中枢など身体の多くの機能に異常が起こっていることが原因です。本来、何もなければ、身体の末端まで血液が行き届き、冷え症にはならないはずです。ですが、「身体の末端まで血液を送り届けられない何らかの事情」が発生しているために、 脳がそのような指示を行っているのです。当院では、西洋医学で考えられているような原因を、本当の病因ととらえていません。人の身体は、複数の器官や臓器が有機的につながり、形作られています。相互に影響を及ぼしあっているのです。機械のように、どこか一か所を治したらいい、というものではないのです。

ですから、当院では病院のような治療は行っていません。行うのは、身体を一つの有機的なものとしてとらえ、その繋がりの中で異常が発生している原因を探し、正常に戻す治療です。生まれながらの無毛症の患者さんに対して鍼治療を行っても、毛を生やすことはできません。身体がその機能をもともと持っていないからです。ですが、生まれていた時に毛が生えていた方が、何らかの事情により脱毛をしてしまったのであれば、治療の可能性はあります。生来人の身体が持っている機能が、その役割を果たせなくなっているのは、阻害する要因があるからです。その要因を取り除き、生来あるべき機能がその役割を果たすように働けるようにする、それが当院で行う治療です。

西洋医学における円形脱毛症の治療法

日本皮膚科学会の「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2010」では、「ステロイド局所注射」と「局所免疫療法」が「行うよう勧められる」とされています。その他、11の治療法を「用いてもよい」としています。が、「有益性が十分に実証されていない」にもかかわらず、「国内での膨大な診療実績を考慮して治療法として推奨する」とされている治療法が殆どです。患者さんたちにとって一番気になるのは、「その治療法で治るのか?」であって、「診療実績が多くあるから」ではないのではないでしょうか。患者さん不在の、病院や製薬会社が中心となった治療法に、自分の身体を託すことができるのでしょうか。

なお、このガイドラインでは、鍼灸治療も漢方薬内服も「用いない方がよい」とされています。なぜなら、鍼灸も漢方薬も施術者によってその効果にブレがあるからです。西洋医学では、医師個人の能力で効果が変わることをよしとしません。どの医師が行っても同じ効果がある治療法を確立することが、西洋医学の目標とするところです。(ですので、結果的に薬の処方が中心となっています。)ですが、鍼治療はとくに、施術者によって処方が異なる、いわば名人芸にちかい部分があります。そのため、医師が行うことができない分野であるともいえます。(これは、外科医でも難度の高い手術を行える医師が限られている、ということと似ています。)実際、外科医でなくても、医師によって診断は異なるために、間違った処方を行うことも多くみられることを考慮すると、個人の能力・技量に依存する割合は、西洋医学でも大きな部分を占めているのではないでしょうか。

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