バセドー病(甲状腺機能亢進病)による脱毛症

(1) バセドー病とは、免疫系が自分の甲状腺を異物と誤って認識し、抗体(TSHレセプター抗体)が生じておこります。抗体に甲状腺が刺激され、血液中の甲状腺ホルモンが過剰に増えます。免疫系は、一度抗体を作り始めるとなかなか止めることが出来ません。
(2) 抗甲状腺薬の内服で治る(薬を中止できる)可能性は約30%です。長期間内服する必要があると考えたほうがよいです。欧米では、1年以上内服しても治る率は上昇しないといわれています。

バセドー病の主な症状

1. 頻脈(1分間に100以上)
2. 全身に微熱感があり汗をかく
3. 眼球突出
4. 心悸亢進
5. 甲状腺腫
6. 食欲旺盛

西洋医学での治療法

バセドー病の治療には、抗甲状腺薬の他に手術療法と放射線療法(アイソトープ療法)があります。どちらも甲状腺を縮小させて甲状腺ホルモンの分泌を減少させる方法です。これらは、甲状腺機能低下症になることが多く、そうなると甲状腺ホルモン薬の内服を一生継続する必要があります。
但し、妊娠時や授乳時の抗甲状腺薬の内服は、胎児や乳児の甲状腺機能に影響があります。

1. 薬物療法(メルカゾール、プロパジール、チウラジール)の欠点
(1) 一生、内服が必要と考えたほうが良い。
(2) 薬の内服で治る(薬を中止できる)可能性は、30%。(再発率70%以上、薬を中止後6か月以内の場合が多い。)
(3) 副作用が多い。

副作用について

<重大副作用>
(1) 無顆粒球症・再生不良性貧血
(2) 白血球減少症
(3) 血小板減少性紫斑病
(4) 劇症肝炎
(5) SLE様症状
(6) インスリン自己免疫症候群(低血糖等)

<一般副作用>
(1) 肝障害
(2) 皮膚症状:毛髮の脱落、皮膚色素沈着、痒み、紅班
(3) 消化器:嘔吐、下痢
(4) 精神神経症状:頭痛、めまい、末梢神経異常
(5) 発疹、じんましん、関節痛、筋肉痛

2. 手術療法と放射線療法
甲状腺を縮小させ、甲状腺ホルモンの分泌を減少させる方法です。欠点としては、治療によって逆に甲状腺機能低下症になり、このために甲状腺ホルモン薬の内服を一生継続する必要があります。主に、再発した症例や薬物の難治例に用いられ、40歳以上で大きな腺腫の場合が対象となります。

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