重症アトピー患者の急増~新たな危機の到来
(1)ステロイド剤の副作用に対する認識について、この十数年間、高まってきました。その大きな原因の一つは、多くの小児科医師がステロイド軟こうの副作用などを強調する本を出版して注目されたことによります。医師の言葉には、かなりの重みがあり反響を呼びました。
(2)ステロイド剤の使用に警戒心を持ったのは、もともと医師側の責任であり患者を教育する立場でもある人々です。情報の高度化が進む現在、ステロイドの真実は隠すことができなくなってきています。ステロイドの長期連用の被害者は、薬を渡される側の患者さんたちであり、決して薬を渡す側の医師たちではありません。医師側は、ステロイドの長期使用を正当化する教育を患者さんにしようとしますが、効果はないかもしれません。
(3)この現状に合わせて、多くの小児科医の著書に「ステロイド軟膏の副作用でアトピー性皮膚炎をステロイド皮膚症のような重症・難治性の病気に変化させた」とあるのは、更に追い風となっています。
(4)しかし、そのステロイド剤を批判している医師の著書の中の共通点が一つあります。それは「ステロイド軟膏は悪いのですが、ステロイドの注射・内服・静注による副作用及びアトピー性皮膚炎の悪影響について触れていない」ということです。
(5)驚くことは、小児科医の先生の本の中に「ステロイド皮膚症の患者に脱皮ホルモンとして、副腎皮質ホルモンを注射する。つまり、ステロイド剤の注射でアトピー性皮膚炎を治そうとしている治療法である」ということです。