アトピー性皮膚炎の回復期における注意点

治療を始めてしばらくすると、皮膚の状態が改善されてくるのが目に見えて分かるようになります。罹患歴や薬の使用歴などが患者さんによって異なるために一概にいつ頃とはお伝えできませんが、必ず良くなります。その時に油断せずに、しっかりと治療を続けること、生活習慣を維持することが、早期の完治につながります。どうか、自己判断で治療を中断しないようにして下さい。

治ったように見えても100%治ったのではない

治療を続ける中で、顔面、胸、背中、四肢の症状がきれいになり、一見完治したかに見えた時には注意します。
よくなったとしても、100%治ったのではないからです。皮膚がきれいに回復しても体内の免疫系、ホルモン系、自律神経系が完全に回復するには4年以上かかります。生活リズムを崩したり、アルコールを飲みだしたり、タバコを吸いだしたり、紫外線が含まれる直射日光を15分以上浴びたりすることで、再び悪化することが多々あります。
それほど、ステロイド皮膚症はしつこいと肝に銘じておいて欲しいと思います。
また、ステロイド剤をつけていないという人でも、ニキビ、痔、口内炎の治療などの薬や育毛剤、化粧品などにステロイドが含まれていることがあります。副腎皮質ホルモン剤を使用していなくても、ステロイドが含まれている薬を使用していれば、何もなりません。
完全に治るまでは、症状が多少軽快しても、治療していた時と同じような生活のリズムを保ち、治療を継続する必要があります。10年から20年と長期にわたって連用してきた副腎皮質ホルモン剤の副作用であるアトピー性皮膚炎を治すのですから、完全に治るまでの数年間は根気よく経過を見ながらの治療が必要です。

症状が消えても油断しない

ステロイドによるアトピー性皮膚炎の症状が完全にとれたと思っても、それまでの生活のリズムは数年間崩さないことが大切です。
そして、ストレスのかかるような行動や、汗を大量にかくような運動は控えるといった慎重さも必要です。

症状が再び悪化した兆候が現れたら直ちに治療する

アトピー性皮膚炎の回復期には、ちょっと風邪をひいたり、予防接種を受けるだけで、症状がひどくなる場合があります。
アトピー性皮膚炎の軽重には関係なく、症状がよくなってきても油断せずに完全に治るまでの数年間は生活のリズムを正しく、免疫力・自然治癒力を最大限に発揮しうるようにしながら治療を継続していくことが必要です。

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