アトピー性皮膚炎の鍼治療の効果
(1) 末梢神経の異常を改善し、全身の血行をよくします
(全身の血行が良くなるため)
生命エネルギーである気・血がこの経絡をうまく流れなくなった時、臓腑の働きが弱まって病気となります。逆に、臓腑に異常が起こるとエネルギーの流れが滞り、ツボ反応が現れます。
うっ血(古血)が停滞して、新しい血が生ぜず、皮膚に栄養が供給されなくなります。
ハリで生体経絡のエネルギーの過不足を調整することで、臓腑の働きを活発にさせ病気を治します。
(2) 自律神経の失調を安定化させ、内臓機能を回復し、
ストレスも解消します
(内臓の交感神経の過度の緊張を抑制しバランスを整えるため)
自律神経は、交感神経と副交感神経に分かれ、シーソーのように拮抗し合って、内臓を支配しています。もし、何かの原因で一方の働きが悪くなるとバランスが取れなくなって失調した状態になります。
内臓や筋肉や神経などに異常が起こると痛み、しびれ、凝り、が起こったり、冷えやほてり、汗、しみ、そばかす、湿疹などが出てきます。
ハリで交感神経の過度の緊張を抑制し、自律神経を安定させる事ができます。
(3) 内分泌のバランスを整えます
(視床/脳下垂体/甲状腺/副腎皮質ホルモン/女性ホルモン等の崩れたバランスを調整するため)
ホルモンを作る臓器の総指揮者は脳下垂体で副指揮者の副腎と一体となり他の内分泌腺をコントロールしています。
内分泌腺の機能異常が起きると、内分泌腺同士のバランスが崩れてしまいます。
ハリで脳下垂体と副腎を刺激するとACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の分泌が増加し、ついでコルチゾール(抗ストレスホルモン)の分泌量も増加するとバランスを整える効果があります。
(4) 自己免疫(免疫系)の機能を回復し、抵抗力を強めます
(アトピー性皮膚炎/アレルギー性体質を改善するため)
免疫反応の中心はリンパ球で、その役割に応じてTリンパ球(歩哨後のリンパ球)とBリンパ球(外敵を攻撃するリンパ球)があります。
Tリンパ球は、ヘルパーT(B細胞の働きを促進)とサプレッサーT(B細胞の働きを抑制)に分かれます。
ハリ刺激でヘルパーT細胞を増加、サプレッサーTを減少させる事で免疫機能を高め、いろいろな病気を改善する効果があります。
(5) 精神安定に不可欠な脳のα波を増加、癒し効果があります
(大脳皮質の鎮静効果によって心身の疲れ/緊張感・イライラ・ストレスを緩和するため)
脳波は、大脳皮質の精神活動を図形化したもので、私たちがものを考えるなどの精神活動を行う時はβ波(ベータ波)、安静にリラックスした時はα波(アルファ波)、うとうとした状態ではθ波(シータ波)、睡眠時はδ波(デルタ波)がでます。
鍼(ハリ)の刺激を加えると、安静にリラックスした状態のα波がぐんと増え、θ波の状態までパワーが広がっていくことがわかっています。つまり、大脳皮質の鎮静効果が現れるのです。
針治療は、新しい皮質(知性脳)と古い皮質(情動脳)のあつれきを解消し、生命現象の中枢といわれる脳幹(生命脳)の働きを調整し、免疫力・自然治癒力を呼び起こす効果があります。