毛髪が生えるしくみ
(1) 毛周期(ヘアサイクル)
一定期間の成長期が過ぎると、毛根は細胞分裂を止めて角化を始めます。そうすると毛の成長は止まり、同時に毛根は次第に表面に押し上げられ、脱毛する。そしてある時期になると、また新しい成長期の毛が発生してくる事になります。
動物の種類によっては、季節的に大量の脱毛が起こって、新しい毛が一斉に生えてくる事があります。
人の毛は一つ一つの毛が独立して毛周期を営んでいます。毎日少しずつ抜けては生えるということを繰り返しています。
(A) 早期成長期: (産毛の段階)が発毛し始めます。
(B) 中期成長期: 次第に毛球は大きくなり、毛幹も太くなって行き、Bの毛を作ります。
(C) 後期成長期: この毛根は皮下組織にまで達し、毛幹は日常見ている毛となります。
(D) 移行期: Cの毛は数年を経ますと、寿命がきて、毛球部から角化し始めます。(約2週間でEになって行きます)。
(E) 休止期: 毛球は完全角化して次第に表面に押し上げられます。(約3ヶ月間)
(F) 脱毛: 脱毛します。
年を取るに従って、毛周期のサイクルが短くなり、自然脱毛の数が増えます。脱毛と新生毛とのあいだのバランスが悪くなり、いわば需要と供給のバランスが崩れ、供給が需要を満たせなくて、髪がうすくなるという状態が起きるのです。
(2) 毛の寿命
男性の場合は2~5年、長さは20~60cm、
女性の場合は4~6年、長さは50~72cmが一般的です。
短い数センチの抜け毛が多くなると、赤信号です。
(3) 毛の成長速度
頭髪の場合は平均1日に0.35mm
1ヶ月に1cm
毛の伸びる速さは人により、栄養状態或は体調、年齢などによって異なります。
(4) 毛穴の数
毛穴の数は遺伝です。母親の胎内にいる時にすでに決まってしまい、生まれてからその数が増えるという事はまずありません。
平均的の人は10万本
少ない人は6~7万本
多い人は13~14万本
脱毛症の頭皮がツルツルで毛穴が見えなくても、毛穴はなくならず死んでもいません。生産が止まっているだけで、発毛穴(ツボ)で再生産をさせます。
(5) 自然の抜け毛
正常な寿命での抜け毛は平均1日約30~50本、季節によって多少の変動があり、とくに秋には多くなります。産毛、短い毛、委縮毛など異常な抜毛では、本数が少ない場合でも、赤信号です。
(6) 皮脂腺の分泌量に左右する5要素
皮脂腺の働きを活発にするのは男性ホルモン、抑制するのは女性ホルモンです。
男性と女性の皮脂の分泌を比較すると、女性は男性の85%で、男性の方が脂っぽく感じます。
皮脂腺が生産する皮脂(シーバム)について、各皮脂腺がどれだけの皮脂を生産するかは次の5つの要素に左右されます。
(1) 食事
(2) 新陳代謝
(3) 精神的不安・・・精神的緊張が頭皮組織の収縮を起こし、血液の循環を阻害して、頭皮への栄養補給を滞らせ、けっきょく毛髪の成長と再生をさまたげます。
(4) 内分泌腺の刺激
(5) 血液循環
(7) 毛の栄養は血管から。
皮膚表面から栄養を吸収することはできません
いろいろな栄養を運ぶ血液は、皮下組織、真皮にある血管・毛細血管をとおり、毛のう、毛乳頭にいたり毛を養っています。
皮膚の細胞は、化粧品、育毛剤、薬用シャンプー・リンスなど外からの栄養分を吸収する働きは全くありません。表皮に死んだ細胞から出来ている角質層に浸透しただけです。
人体に必要なものとしては、タンパク質、脂肪、含水炭素、ミネラルなどいろいろなものがありますが、血液がそれらの栄養分を滞りなく毛のうに供給している限り、工場の生産活動は順調に行われ、健康な強い毛が育ちます。こうした栄養補給が円滑にいかないと、毛は弱くもろくなり、ついには生産がとまってしまうことになります。
(8) 毛は一種の排泄器官
私たちの身体は、自分の体内の内部環境を一定に保つために、有害な物質を糞便や尿などとして対外に排泄するような仕組みになっていますが、重金属などのその一部は、毛乳頭を経て毛幹に吸収されて排泄されているのです。私たちの毛髪は、人体の有害物質の排泄器官としても一つの役目を担っています。