【症例】40代女性 過呼吸症候群・更年期障害/改善途中で終了

No.397過呼吸症候群・更年期障害/改善途中で終了


発症から来院までの経緯

40代女性が過呼吸症候群、更年期障害(めまい・頭痛)、花粉症、気管支炎で来院されました。

もともと20代の頃から疲れやすく、頭痛もちであったとのこと。30代半ば頃から、仕事ができないくらいのめまいがあり、数ヶ月咳が長引きトイレで意識不明で倒れたことがあったとのことでした。40代になり、春になると咳が止まらず呼吸が苦しい状態が続き、気管支炎になりました。3年後に、病院では花粉アレルギーによる咳だと診断されました。(このとき、吸入と点滴でステロイドを使用していました。)その後、転職し、疲れがたまるとめまいが起こり、三半規管のバランスが崩れているとの診断でステロイド剤の点滴と内服薬を処方されていました。来院1年前より、過呼吸の発作が起こり、眠りが浅く、食欲もない状態となりました。(過労とストレスによるものと思われます。)このとき、病院からは抗不安薬のセルシンを処方されました。


生活習慣など

喫煙の習慣はありませんが、1日1本程度缶ビールを飲む習慣があります。家族関係や仕事のストレスを感じていました。

当院での治療の経緯

治療方針として、陳氏針法の頭皮針および全身療法で自律神経やホルモン、体温調節、睡眠中枢を正常化させ、免疫機能を強化し全身症状を改善することを目標としました。週に1回の通院による治療を行います。抗不安薬セルシンは本人の希望で服用を中止しました。

1回目の治療から2週間後、2回目の治療を行いました。1回目の治療後、1週間は身体の疲れを感じにくくなり、食欲も少し出てきたとのことでした。2週間、抗不安薬セルシンの服用をやめていましたが、過呼吸の症状が発生することもなく、夜中に目が覚める回数も減ってきたとのことでした。

2回目の治療から1ヶ月後、3回目の治療を行いました。2回目の治療後、体調がよく、毎日、少し熟睡している感じがありました。1日三食の食事も楽しく感じ、今まで感じていた息苦しい感じもありませんでした。ただ、以前と比べると軽いですが、疲れは感じやすくなりました。来院1週間前に、仕事が忙しかったせいか、過呼吸になりかけたため来院されたとのことでした。

3回目の治療から三週間後、4回目の治療を行いました。仕事だけでなく、家事や子供のことでストレスがたまり、疲れが取れにくくなっているとのことでした。来院の前日は、仕事中に息が苦しくなったとのことでした。(治療に行きたい気持ちがあるものの、やる気が出ない、体調もどんどん悪くなってきたため耐えられなくなったとのことでした。)

この方の治療は、4回目が最後となりました。

身体が長期にわたって、不安、不眠、過労、食欲低下といった状態にあると、仕事も人間関係も上手くいかなくなることが多く見られます。自信やる気もだんだん喪失されます。その不眠、過労、食欲減退に対し、鍼治療は即効性があります。患者さんは身体に自信を少し持つことができ、将来に対して不安が軽くなります。

この患者さんの場合、鍼治療の即効性で、症状の改善が早く出たため、自分の体に対して甘えが出てきたと思われます。身体が良くなると、もっと頑張れると思い、やる気がでて、治療が面倒と感じられたのでしょう。体調が悪くなるとあわてて来院し、よくなると通院しなくなるという状態でした。治療しなければと思うのですが、継続的な治療が出来ないという繰り返しだったのでしょう。

当院は、患者さんの体調や気持ちをよく理解して治療にあたっていますが、治療しないと治らないという現実は変わりません。1回だけの施術で「治った」と思ってしまう気持は分かりますが、それは今の症状が良くなっただけで(症状が良くなるのはうれしいことではありますが)、完治という目標はまだまだ先にあるのも事実です。薬のように家で服用できる便利さはありませんが、毎回の治療で症状を見ながらツボと重樹両などを加減し調節しながらの治療は、鍼独特のものであり効果が出る理由でもあります。来院するのが面倒と思う患者さんもおられますが、毎回、身体の状態を先生に診てもらい治療をすること、そしてその効果の積み重ねが完治という目標に到達することになると思います。患者さんの心の壁を一緒になってどう乗り越えるか、これは治療する我々rの永遠の挑戦でもあります。


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